Research研究
先天性凝固異常症由来iPS細胞におけるゲノム編集技術を用いた遺伝子修復
血友病に代表される先天性凝固異常症は、様々な遺伝子変異に伴い出血症状をきたす遺伝性疾患です。現在の医療では、凝固因子製剤を含む血液製剤を定期的に投与することで出血症状を予防しており、根本的な治療はまだ確立されていません。近年CRISPR/Cas9を用いて、任意の遺伝子配列を効率良く改変するゲノム編集技術が注目されています。当科では先天性凝固異常症患者さんの血液から樹立した人工多能性幹細胞(iPS細胞)に対し、ゲノム編集技術を用いて遺伝子修復を行い、将来遺伝子治療へ応用するための研究を行っています。これまで血友病や先天性第V因子欠乏症の患者さんの血液からiPS細胞を樹立し、CRISPR/Cas9により病気の原因遺伝子を正常な遺伝子へと修復することに成功しています。また、この遺伝子修復したiPS細胞を培養皿の上で肝細胞に分化させたところ、正常な凝固第V因子を発現すると共に凝固能も回復しました。今後、先天性凝固異常症に対するiPS細胞およびCRISPR/Cas9を用いた遺伝子治療の発展が期待されます。
CRISPR/Cas9を用いた先天性凝固異常症患者由来iPS細胞における遺伝子修復
樹立したiPS細胞 |
iPS細胞から分化させた肝細胞様細胞 |